ブックラ

Buchla(ブックラ)ときいて、あぁ知ってる知ってる芸大にあるヤツね!などと云う人はよほどのシンセ通。私が初めて知ったのは、モジュラーシンセを一所懸命にネットで検索していた時にブルーのスーツケースに収まったカラフルな装いのモノだった。もちろん、タンスのような王道モジュラーもあるのだが、タッチセンサーの鍵盤がつき60〜70年代のレトロっぽいその風情にやられてしまった。しかも動画を漁ってみると、なんとも現代音楽風な精神的な音を奏でることができる凄いヤツという印象がこびりついてしまった。

 
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さらに調べてみると誰しもが知っているmoog(モーグ)に対して西海岸スタイルなどと呼ばれており、モーグは当時、ロックミュージック界にみごとに浸透していったのに対して、実験音楽専用装置的な位置づけで、まったく世に広まるということがなかったようなのである。(1973年に25台程度しか生産されなかったという…)カッコイイではないか!

 
しかし、そんな稀少な昔の機材は手に入ることは望めないし、最新のモジュラーシンセの方が更にコンパクトで自由度も高いし、自分で近いモノがつくれるじゃんと思い、エフェクトケースにモジュラーシンセを詰め込みだしたのでありました。

 
しかし、時は流れ、モジュラーシンセブームが巻き起こる2013年。幻のシンセサイザーが、40年の時を経て蘇ったのでありました。調べてみれば恐るべし価格!んー悩む!手に入れるべきか?高嶺の花として心にしまっておくか?

 
2014年の夏。一年間。高嶺の花として我慢した。ネットも見ないように注意していた。オマエには必要のないモノだぁ。しかし!ついにその日が来てしまった!円が上がり始めた!今買わねば!来年では2割増だぞ!背中を押された。あとになって2014年に100台程度生産し製造中止…。となったら絶対に後悔するに違いない。こんなくだらないものにと怒られようとオレが欲しいのだから…。どうせ今、頼んでもスグには来ないだろうし、忙しい秋が終わった頃、寒い冬の日にこの装置で遊ぶのサ。とコッソリ貯金をおろし注文したのであった。

 
そして、2015年正月。サイトには納品まで2週間から6週間と書かれているものの発送の気配はまるでなし、途中どのくらいかかる?とメールはしたものの適当にはぐらかされ…なんかサイトがおかしく…メールをするも返って来てしまう…。うわぁやられたか!と数日間悶々とするも。1月半ばには新モジュラーも発表されて、ようやくメールが返っては来たものの具体的な納期の知らせはなく…2月に来れば滅多にないライブにも使えるのにと思いつつ気長に待っていたわけですョ。

 
ある日、相方さんから「海外の運送会社から不審な電話を受けた!」「また、変なモノ頼んだでしょ!」とおしかりを受ける。「えっ?」とごまかしつつ、もしや?とすこしワクワクしながら運送会社に連絡すると届いているが関税を振り込んでもらわんと届けられないという…しかも配達は19時までや…といわれる。んーまた相方さんに何か言われるな…。それなら19時過ぎに取りに行くから用意しといてケロと伝えると、OK!とのことで湾岸沿いにある倉庫街までクルマを走らせたのでした。

 
そして無事に我が家にあの幻が届いたのであります。

 
早速、段ボールをあけ、スーツケースを取り出し、ソソクサと電源を入れる。もう動画サイトで飽きるほどみているので、イメージトレーニングはバッチリなのだ。

 
「ビー」とあの音がでてくる!タッチパネルに手をあてればあの不安定な音がでてくる!つまみを回せばあのノイズが出てくる!いやちょっと待て!ノイズはノイズだが少しおかしい?5から6にいくアタリで急に破壊的な音になるゾ!これはイメージトレーニングと違う?まぁでもイロイロいじってやれ!あれ?ココのノブの音がかわらんゾ!まぁでもイロイロいじってやれ!あれ?ここのスイッチ?これは、急いでつくって故障だらけということ?

 
動画サイトで音の出方を我が装置に置き換えて比べてみるも、どう考えても故障している…。
うわぁー。やられたー。
せっかく2週間後にはライブがあるのに…残念。

 
まぁでもどうせ手作りだしちょっといじってやるか?でも高いしナァ、いつもより丁寧にビビリながらネジをはずしてゆく。びっしり詰まった基板を目にし、やはり名器という感じがしてくる、しかも基板上にも調整用のノブが出ているし、変なところの回路を追ってすこしノブを回してみると…あぁなんか効いてるじゃん!よかった!よかった!なんか直りそうだ!丁寧にケースに戻しネジをしめて修理完了!音を出してみる!あれ?またなんかおかしい?
外側からおかしな所付近を押してみるとなんか音が変わる?んー?。
またまた丁寧にネジを外し、基板をながめてみる。この辺りだなと横から見てみると基板どうしがギュとつまっている箇所を発見。少々荒っぽいがドライバーを差し込み少しばかり浮かせてみる。
あぁ!直った。しかし大枚叩いてんだからちゃんとチェックぐらいして送れよなーと言いたいところだが、こんな原因も分からないヤツはこの装置を使う資格はないのだと言われているような感じでもあり。とにかくほぼイメージトレーニングどうりに動きだしたのである。それにもましてタッチセンサーは想像していたより繊細でイメージどうりに音を出すには慣れが必要だ。なんか曲者なのである。

 
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さてさてそれから毎日特訓の日々。まだまだ奥は深いのだが人前で音を出してみた。ノイズ愛好家にとって最高の音だ!